Ryzen 5 5600Gにグラボ追加【ゲーム性能向上&マルチモニター】

Ryzen 5000シリーズには内蔵グラフィックスを搭載した「G」シリーズがあります。

そのRyzen 5000Gシリーズの一つであるRyzen 5 5600Gは、動画再生支援機能などを持つグラフィックスを内蔵しており、Core iシリーズを超える高性能な内蔵グラフィックスとしても有名です。

CPU性能もRyzen 5とあって高く、グラフィックスボードを追加することで現行ゲーミングPCクラスのゲーム性能を手に入れることも可能なのです。

この記事では、Ryzen 5 5600Gにグラフィックスボードを追加することで、多画面かつゲーミングPCクラスのグラフィックス性能を持つPCを作るための設定方法について解説しています。

初心者の方には少し敷居が高い記事かもしれませんが、設定方法を細かく解説しましたので、ぜひ参考にしてください。

Ryzen 5 5600Gにグラフィックボードを追加するとできること

Ryzen 5 5600Gにグラフィックスボートを追加するとできるようになることは次の通りです。

  • グラフィックス性能の向上
  • 多画面マルチモニター化

それぞれ見ていきましょう。

グラフィックス性能の向上

Ryzen 5 5600Gに高性能なグラフィックボードを追加することで、グラフィック性能の向上が見込めます。

Ryzenの内蔵グラフィックスは、intelCPUと比べて一般的に高性能ですが、それでもグラフィックスボードと比べると低めです。

グラフィックスボードを搭載すれば、グラフィックス性能を上げることができ、ゲーミングPCと同様の使い方ができます。

Ryzen 5 5600GはRyzen 5 5500・5600クラスのCPU性能を持っており、GeForce RTX 4060などの高性能グラフィックスボードを追加すれば、現行ゲーミングPCと同クラスの性能が実現できるのです。

お金のないうちは5600Gの内蔵GPUを使用し、お金がたまってからグラボを追加してゲーミングPCとしてつかう方法もひとつの有効な手段と言えるでしょう。

多画面マルチモニター化

Ryzen 5 5600Gが使用できるマザーボードには3画面同時出力ができるものがあり、内蔵グラフィックスで同時出力できるモニター数は、最大3画面です。

Ryzen 5 5600Gを搭載したPCにグラフィックスボードを追加することで、モニターの接続台数を増やすことができるのです。

例えば、3画面同時出力可能なマザーボードに3画面同時出力可能なグラボを載せれば最大6画面のマルチモニターPCになります。

4画面同時出力可能なグラボなら、最大7画面同時出力が可能になるのです。

このようなマルチモニター環境は、例えば次のような人にとって有効な環境でしょう。

  • ゲーム実況などで、ゲーム以外にも複数のアプリを同時起動する人
  • デイトレーダーやWebエンジニアなど、複数のアプリやブラウザを同時に画面に表示させる必要がある人
  • 縦横モニターを用途に応じて使い分けたい人

ゲーム実況の場合、ゲーム本体に加えて配信アプリやチャットツールなどを起動することが多いです。

ゲーム本体をメイン画面に、ほかのウィンドウを別のモニターに表示させることができるので、複数のモニターを使用できるのはとても便利でしょう。

デイトレーダーはチャートなど複数のデータを瞬時に把握する必要があり、マルチモニターは必須と言ってもよいです。

Webエンジニアも、コード書き・動作チェック用ブラウザ・管理画面ブラウザなど、一度に多くのウインドウを起動し、確認しながら作業します。

そのような時にも、Ryzen 5 5600G+グラフィックスボードのマルチモニター環境は役に立つでしょう。

また、最近エンジニアを中心に普及している縦向きモニターは、用途によっては横向きのモニターより使い勝手が良く、縦横両方のモニターがあって使い分けると効率的に作業ができます。

例えば、エディタでコードを書くときは縦モニター、ブラウザで動作チェックをするような場合やオフィスソフトを使う場合は横書き、という形で使い分けるのです。

Web広告運用担当者やメディア担当者も同様に、縦横モニターを使い分けると便利です。

管理人の場合、例えば、

  • Google広告エディタ・Googleスプレッドシート・Googleスライドなどは横向きの画面
  • SlackやChatwork、Wordpressに投稿したメディア記事の確認、Googleドキュメントは縦向きの画面
と使い分けて、作業効率を上げています。

このように、モニターの台数を増やしたり、縦横両方のモニターを用意するようなマルチモニター環境は、様々な用途で便利です。

マルチモニター環境を構築するにも、Ryzen 5 5600G+グラフィックスボードは有効といえます。

ゲームもできるデイトレードPCのように、仕事用マルチモニターPCとプライベート用ゲーミングPCを1台にまとめるような使い方もできるでしょう。

Ryzen 5 5600G + 高性能グラフィックスボードの組み合わせで、多画面マルチモニターのゲーミングPCを作ることが可能になるのです。

グラフィックスボードを追加する際のBIOS設定

このようなマルチモニターPCを作るために、Ryzen 5 5600Gでグラフィックボードと内蔵グラフィックスを同時使用する場合には、BIOSの設定が必要になる場合があります。

初期設定で使える場合もありますが、設定間違いは画面が一切表示されないなどのトラブルにも繋がるのたま、一つ一つ確認して抜け落ちのないようにしましょう。

なおここで紹介する設定は、内蔵GPUとグラフィックスボードを両方使ったマルチモニター環境を作る場合の設定で、画像はASRockの A520M PRO4のBIOS画面になります。

設定内容も、このBIOSのメニューに沿って進めますので、他のマザーボードを使用している方は、適宜置き換えて設定を進めてください。

 

ASRockの A520M PRO4は、Ryzen 5 5600Gで3画面同時出力可能ながらリーズナブルなマザーボードで、管理人も愛用しています。


Primary Video Adapterの設定

起動時に、内蔵GPUかグラフィックスボードのどちらを優先的に使うか設定する項目で、グラフィックスボードを指定します。

Ext Graphics(外付けグラフィックスボード)を選択しましょう。

例)ASRock A520M Pro4の場合

Advanced → Graphics Feature → Primary Video Adapter を「Ext Graphics(PEG)」に

UMA設定(VRAM容量の設定)

メインメモリをVRAMにどれだけ割り当てるか指定します。

iGPU Configrationなどといった項目ですが、これもマザーボードごとに違います。

基本的にはAutoで、メインメモリの容量が少なかったり、実際に使用してタスクマネージャをみてGPUメモリが不足気味なら、手動設定しましょう。

マザーボードによってはこの設定項目がなく〇〇モード、という形で選択するものもあります。

例)ASRock A520M Pro4の場合

Advanced → AMD CBS → NBIO Common Options → GFX Configuration → iGPU Configurationを「UMA_SPECIFIED」に、UMA Frame buffer Size を 割り当てたいVRAMの容量に(写真では「2G」(2GB)に

CSMを無効化

Ryzenでマルチモニターをする場合には重要な設定になります。
CSMとは、UEFIに対応していない古いOSや周辺機器との互換性を維持するための設定です。

管理人がRyzen 5 5600Gでマルチモニター環境を組み立てたとき、初期設定でCSMが「Enable」、かつ「Primary Video Adapter」が「Int Graphics」になっていて、Ryzenの内蔵GPUがWindows上で認識されないエラーが起こりました。

管理人の場合、いったんグラフィックボードを取り外し、内蔵GPUだけで起動してRADEONドライバ(Adrenalln)をインストールし、もう一度グラボを取り付けて、GeForceドライバをインストールすると解消しました。

ただ、BIOS側で先に設定を行えばこういったトラブルは防げる場合が多いので、設定をしっかり行って無用のトラブルを防ぎましょう。

例)ASRock A520M Proの場合

Boot → CSM(Compatibility Support Module) → CSM を「Disable」に

 

グラフィックスボードを追加して内蔵グラフィックスとグラフィックスボードの両方から画面を表示可能にする設定は以上です。

マザーボードによっては、一か所設定したときに別の場所がデフォルトに戻されてしまうようなこと(とくに機能をDisableにしたとき)もあるので、うまく動かないときは、設定項目を1から見直して確認しながら進めましょう。

グラフィックスボードを追加する際のWindows設定

BIOS設定が終わったら、Windows「グラフィックの設定」で、アプリごとに使用するGPUを指定します。

基本的にはグラフィックスボードを割り当てることになると思いますが、たとえばゲーム実況であればゲームだけグラフィックボード、ゲーム以外の配信アプリやチャットアプリなどには内蔵GPUを割り当てることで負荷分散をはかることもできます。

手順は以下の通りです(Windows11の例)

設定 → システム → ディスプレイ → グラフィック

 

設定するアプリを選択し、オプション。ここではPlayOnline Viewer(ファイナルファンタジーXI)を設定します。

このアプリを実行するときに使わせたいGPUを選択します。

この場合はゲームですので、「高パフォーマンス」(グラフィックスボード側)を指定し、保存。

これを、割り当てしたいアプリすべてに行います。

 

注意点は、すべてのモニターでGPUの割り当てができるとは限らないことです。

例えば管理人の環境では、USB接続のDisplayLinkでは、GPUを指定してもDisplayLinkが優先されました。

Ryzen 5 5600GはゲーミングPCの多画面マルチモニター化に最適

このように、Ryzen 5 5600Gへのグラフィックスボード追加は、多画面でのマルチモニター化とゲームに求められる高いグラフィックス性能を手軽に両立させることができます。

4台以上のモニターを繋げたい、普通のゲーミングPCだと仕事で使うにはモニター数が足りないけど、なんとか1台のPCにまとめたいというときには、有効な手段と言えるでしょう。

まとめ:Ryzen 5 5600Gにグラボを追加してより役立てよう

  • Ryzen 5 5600Gにグラフィックスボードを追加するのはグラフィックス性能向上やマルチモニター化ができるメリットがある
  • グラフィックスボードを追加する場合は、BIOSで適切な設定を行い、Windows上でGPUのアプリごと割り当てを行う必要がある
  • Ryzen 5 5600Gは多画面でのマルチモニター化とゲームを手軽に両立させることができる

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参考記事
A520M Pro4 | ASRock マザーボード AMD A520チップセット | 株式会社アスク