Ryzenのデメリットとメリット|やめとけと言われる理由とは

パソコンのCPUで有名なのはintelのCore iシリーズですが、AMD社のRyzenというCPUも有名です。

しかし、Ryzenはデメリットが強調されることも多く、「Ryzenはやめとけ」という声もよく聞かれます。

Ryzenでのみ不具合が出るようなアプリがまれにあること、パーツの相性問題が出やすいこと、シングルスレッド性能が低くゲームに不向きなのが、「Ryzenやめとけ」といわれる主な理由です。

ただ、今となってはその多くが解消されており、マニアックなアプリを使ったり初めてPCを自作するようなユーザーを除けば、「Ryzenやめとけ」の理由はないといえるでしょう。

また、Ryzenにはintel Core iと比べてメリットもあります。

Ryzenは複数のアプリを同時に実行するような用途に向いており、内蔵グラフィックスの性能が高い、価格が比較的安価というメリットがあります。

この記事では、Ryzenのデメリットとメリットについて紹介し、「Ryzenやめとけ」と言われる理由についても解説しています。

これからRyzen搭載PCを検討している方は、当記事をぜひ参考にしてください。

Ryzenのデメリット

一般的に、Ryzenのデメリットと言われていることは以下の通りです。

  • 自作するときに扱いにくい
  • Ryzenのみ不具合がでるアプリがある
  • シングルスレッド性能が低い
それぞれ見ていきましょう。

自作するときに扱いにくい

多くのPCパーツはintel Core iに最適化されて設計・製造されているので、相性問題と呼ばれる、そのパーツとRyzenを組み合わせた時だけに発生する不具合が出やすいといわれています。

正しい組み合わせなのにパフォーマンスがフルに発揮できないようことも多いです。

実際に、CPUがDDR4-3200に対応したRyzenで、メモリが対応しているにもかかわらず、DDR4-2666で動作してしまう相性問題が、管理人のPCでも発生したことがあります。

他にも、CPUクーラーを外す際にCPUが一緒に外れて、CPUを破損してしまう、いわゆる「すっぽん」も自作で扱いにくい要因として挙げられます。

グラフィックスボードとモニターケーブルを正しく接続したのに画面が表示されない、マルチGPU環境で内蔵グラフィックスが認識されないという不具合が起きたという話も聞きます。

こういった、intel Core iを使用した自作では起こらない問題が、Ryzenを使用した自作ではあるのです。

中上級者であれば対処できるかもしれませんが、自作初心者や、初めてPCを自作するユーザーにとっては、Ryzenでの自作は少し敷居が高いかもしれません。

Ryzenのみ不具合がでるアプリがある

ごくまれに、Ryzenにのみ不具合が出るアプリがあります。

部品同様にアプリの大半もintel Core iに最適化されていて、動作確認もintel Core iで行っている場合が多いのです。

Ryzenでの動作確認が不十分なため、intel Core iでは問題なく動くのに、Ryzenではうまく動かないようなことが起こるのです。

ただ、発生するのはごくまれで、ほとんどの場合はすぐに修正されるでしょう。

マイナーなフリーウェアやツールなどで、制作者が「Ryzen非対応です」と明言しているものを使うのでなければ、あまり気にする必要はないといえます。

シングルスレッド性能が低い

Ryzenはコア数を増やすことで同時に処理できるプログラム数を増やし、スピードを上げる構造です。

しかし、1コア当たりの性能はintel Core iと比較すると低めです。

ゲームのようにスレッド当たりの性能にパフォーマンスが左右されやすいアプリの場合は、Ryzenは不向きといえます。

Ryzenのメリット

このように、Ryzenにはデメリットもあります。

しかし一方で、Ryzenにはintel Core iにはないメリットもあるのです。

Ryzenのメリットとは、具体的には次のようなものです。

  • マルチスレッド性能が高い
  • 内蔵グラフィックス性能が比較的高い
  • 価格が安い傾向がある

それぞれ見ていきましょう。

マルチスレッド性能が高い

Ryzenはコア数を増やして同時に処理できるプログラム数を増やすことで、処理を高速化させることに最適化した設計になっています。
マルチコア・マルチスレッドに最適化した設計になっていて、多数のプログラムを同時に起動・処理するような用途に向いています。

こういった用途では、intel Core iより処理速度が早いこともあり、Ryzenの大きなメリットといえます。

内蔵グラフィックス性能が比較的高い

Ryzenのなかでも型番末尾にGが付いたものや、7000番代以降などには、グラフィックス機能が内蔵されています。

Ryzenのグラフィック機能は、AMDのGPUであるRADEONがベースになったもので、intel Core iの内蔵グラフィックより全体的に高性能です。

Core i7-12700とRyzen7 5700G・Ryzen5 5600Gのグラフィック性能比較では、Ryzenが圧勝しているというベンチマーク結果もあります。

また、2024年1月ごろに発表されたRyzen 8000シリーズの内蔵グラフィックスは、GeForce GTX 1650クラスのグラフィックス性能があるともいわれているのです。

軽いゲームであれば、Ryzenの内蔵グラフィックスで十分動作するようになっており、グラボなしのゲーミングPCも実現可能かもしれません。

Ryzenの内蔵グラフィックス性能の高さと性能向上には、目を見張るものがあるといえるでしょう。

価格が安い傾向がある

一般的に、同クラスの性能のintel CPUと比較して、Ryzenは価格が安い傾向があります。

最近になってRyzenも値段が上がり、価格優位性は薄れてきていると言われていますが、全体的な傾向を見るとRyzenのほうが格安といえます。

Ryzenはやめとけと言われる理由

これまでみてきたように、Ryzenにはメリット・デメリットの両方があり、用途次第で向き不向きがあると言えるでしょう。

しかし、「Ryzenはやめとけ」という声がいまだに聞かれるのも事実です。

Ryzenはやめとけと言われる理由は、主に以下のような理由といえます。

  • ゲームでパフォーマンスが出にくい
  • 自作するときに扱いにくい
  • Ryzenでだけ不具合が出るアプリがある

ゲームでパフォーマンスが出にくい

多くのゲームは、1コアあたりの性能が高いほうがパフォーマンスがでるようになっており、コア数を増やして性能を上げるRyzenには不向きなタイプのプログラム構造になっています。

多くのゲームはintel Core iに最適化されているという意味でも、Ryzenはゲームに不向きといわれているのです。

ただ、Ryzenにも、型番末尾に「X3D」がつく、ゲームに最適化されたCPUが発売されています。

このCPUは同クラスのCore iを超えるゲーム性能を持っているともいわれているのです。

また、軽いゲームを内蔵グラフィックスでプレイするのであれば、Ryzenのほうがむしろ向いているでしょう。

Ryzenはゲームに不向きと言われてきましたが、最近になってそういった状況も変わってきています。

ゲームに不向きといわれてきたRyzenもゲームへの最適化は進んでいるといえるでしょう。

自作するときに扱いにくい

Ryzenは、PC自作という視点から見ると癖があり、PC自作初心者にとっては多少ハードルが高くなっています。

特にメモリやSSDで相性が出やすく、メモリは、DDR4-3200を搭載しているにもかかわらず、3200で動作せずにDDR4-2666で動くようなこともあります。

他にも、CPUクーラー取り外し時にCPUが一緒に外れてしまう「すっぽん」が起こりやすいこと、CPUのピンが曲がりやすく破損しやすいことも扱いにくさの要因です。

グラフィックスボードを差し込んで、モニターケーブルを正しく接続してもなぜか画面が表示されないことがあるという不具合の話も聞きます。

少し特殊な使い方ではありますが、管理人が、Ryzenの内蔵グラフィックスとGeForceのグラフィックスボードでマルチGPU構成を作ろうとしたときにも不具合が出ました。

具体的には以下のようなものでした。

  • Ryzen 5 5600Gの内蔵グラフィックスとGeForce GTX 970を組み合わせたマルチGPU構成で、接続したモニターのうち一部が表示されない。
  • Ryzen 5 5600Gの内蔵グラフィックスがデバイスマネージャーでエラーとなっていて、RADEONのドライバ(AMD Software: Adrenalin Edition™)をインストールしようとしても、デバイスを見つけてくれない。
  • GeForce GTX 970を取り外してRADEONのドライバを再インストール → その後、GeForce GTX 970を接続してGeForceのドライバを再インストールしたところ、全画面が表示された。

その後もBIOSでグラフィックス関連の設定をいじったりすると、一部の画面が表示されないことがあります。

毎回、グラフィックスボード取り外し → RADEONドライバ再インストール → グラフィックスボード取り付け → GeForceドライバ再インストール、を行うと全画面表示されるように戻りますが、このような、原因不明のトラブルが起きやすい傾向があるのは、Ryzenやめとけの大きな理由といえるでしょう。

ただし、自作をしないユーザーにとってはこのようなデメリットは関係なく、自作中上級者であればほとんどの場合は直すことができるので、自作初心者以外は気にする必要はないでしょう。

Ryzenのみ不具合がでるアプリがある

ごくまれにですが、Ryzenだけで不具合が出るアプリがあります。

プロユースのマニアックなアプリや、一個人が開発したフリーウェアなどでみられます。

ごくまれに起こる症状ですし、大体のパターンではすぐに修正されますが、制作者がRyzen非対応としているようなツールやフリーソフトも稀にあり、そういったソフトを使う予定があれば、RyzenPCの購入は控えましょう。

また、多くのアプリがintelに最適化されています。

アプリの動作チェックはintel Core iで行うことが多いので、稀にRyzenのみ発生する不具合もありますが、気にするほどではありません。

 

このように、Ryzenやめとけといわれる理由がありますが、気にするべきなのは、初めての自作を行う人やマニアックなアプリを使用するような人に限定されるといえます。

以前のRyzenは癖も強かったですが、やめとけと言われる理由やデメリットも解消されつつあり、それほど気にすることはないでしょう。

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まとめ:Ryzenはデメリットもあるが使い方次第ではintel Core i以上

  • Ryzenのデメリットはパーツ同士の相性が出やすい、Ryzenのみ不具合が出るアプリが稀にある、シングルスレッド性能が低いことが挙げられる
  • Ryzenのメリットは、マルチスレッド性能が高い、内臓グラフィックス性能が高い、価格が比較的安価なことが挙げられる
  • Ryzenやめとけと言われる理由はRyzenのデメリットが強調されるからであるが、初めてのPC自作やマニアックなアプリを使う場合以外は、基本的に気にする必要はない。

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