外付けGPUはやめとけ?|メリットデメリットを知って賢く使おう
普通のノートPCには、基本的にグラフィックスカードは搭載していません。
しかし、今持っているノートPCが高性能であれば、外付けのグラボを取り付けて、ゲーミングPCのようにゲームをすることが可能な場合もあります。
外付けグラボ、外付けGPUなどと呼ばれるものです。
この外付けGPUについては、「お勧めしない」という人も多数いますが、使い方によっては快適なゲームプレイに役立つこともあるのです。
この記事では、外付けGPUといわれる、グラボなしPCや普通のノートPCに外付けしてグラフィックスカードとして使えるデバイス(周辺機器)のメリットデメリット、おすすめできるタイプの人について触れています。
様々な理由でゲーミングPCを購入できない、でもどうしてもPCゲームをやりたい、という方にとって外付けGPUは有力な選択肢の一つかもしれません。
購入を検討している、購入のために情報を集めている人はもちろん、そもそも外付けGPUとはどういったものか興味がある方も、ぜひ読んで参考にしてください。
目次
外付けGPUとは
出典:Amazon.co.jp
外付けGPUとは、eGPU(External GPU)と呼ばれるもので、グラボをPCに外付けで利用できる周辺機器のことを言います。
その名の通り、グラボを内蔵することができる箱状のもので、PCと接続することでグラフィックスカードを外付けできるという商品です。
主に、グラフィックスカードが搭載できないノートPCにグラフィックスカードを取り付けるために使われています。
(条件を満たしているデスクトップPCでも可能です)
わかりやすく言うと、いわゆるグラボなしPCや普通のノートPCにグラフィックスカードを搭載することができ、ゲーミングPCのようにゲームができるようになるのです。
外付けGPUは、Thunderbolt3で接続して使用するものがほとんどです。
なかには他の接続方法のものもありますが、グラフィックスカードの性能が十分引き出せない可能性が大きいので、Thunderbolt3接続のものを強くおすすめします。
「Thunderbolt3」とは、USB Type-Cのコネクタに接続して高速なデータ送受信ができる技術です。
この外付けGPUを使うには、Type-Cコネクターの中でもThunderbolt3対応が明記されているノートPC、もしくはデスクトップPCが必要です。
USB Type-Cを搭載しているPCのなかでもThunderbolt3に対応しているものはあまり多くないので、購入検討段階であらかじめ確認しましょう。
この外付けGPUですが、デメリットも大きく、だれにでもおすすめといえるものではありません。
なぜ外付けGPUはやめとけといわれるのか、見ていきましょう。
外付けGPUのデメリット
外付けGPUのデメリットは
- 設置スペースが必要
- 内蔵グラフィックスカード単品よりはるかに高くつく
- 接続可能なPCは限られる
- グラフィックカードのパワーをフルに発揮できない可能性がある
- PCの寿命が短くなる可能性がある。
です。
設置スペースが必要
外付けGPUは比較的大きさがあります。
ノートPCに接続して使う場合であっても、ノートPCよりも大きな荷物が増えます。
部屋の置き場所に困ってノートPCを購入した人や、ワンルームマンションに住んでいて、部屋にスペースがない人にとって、置き場の圧迫要因になるかもしれません。
もちろん、持ち運ぶには一苦労の大きさで、外に持ち歩く事は厳しいでしょう。
内蔵グラフィックスカード単品よりはるかに高くつく
外付けGPUは全般的に高めで、グラフィックスカードとボックスを別々に売っているパターンだとボックスで3万〜、それに別途グラフィックスカードの購入が必要になります。
ボックスにグラフィックスカードを搭載して販売しているものだと、10万円以上にもなります。
純粋にボックス分だけ割高になると考えて間違いないので、普通にグラフィックスカードを搭載するより30,000円以上割高になると言えるでしょう。
2024年現在、グラボの高騰が続いているとはいえ、高性能なゲーミングPC本体が以前よりリーズナブルになってきています。
そのためゲーミングPCとの価格差は小さくなっているといえます。
ただ、Core i7やRyzen9などの高性能ノートPCをもっていて、トータルで少しでも安くゲームがプレイしたいという人にとっては、外付けGPUは一つの選択肢といえるでしょう。
なお、グラボの高騰は、半導体不足が続いているなどの要因から、しばらく続くと考えられます。
これについては別記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
接続可能なPCは限られる
外付けGPUは、Thunderbolt3で接続します。
Thunderbolt3を搭載していないPCでは、実質的に使用不可能です。
他のタイプの端子で接続できるものもまれに売っていますが、グラフィックスカードの性能を十分発揮できなくなる可能性があるので、お勧めできません。
グラフィックカードのパワーをフルに発揮できない可能性がある
少し細かい話になりますが、グラフィックカードをゲーミングPCに内蔵した場合と比較して、外付けGPUはグラフィックカードのパワーをフルに発揮できない可能性があります。
これは、thunderbolt3のスピードが、PCに内蔵した場合の接続(PCI-Express x16)と比較して遅いことが原因です。
同じクラスのスペックをもつゲーミングPCと比較した場合、外付けGPUではある程度のフレームレート低下が起こり得ることは覚えておきましょう。
参考:https://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/feature/1082967.html
PCの寿命が短くなる可能性がある。
外付けGPUのデメリットというよりも外付けGPUを搭載してゲームをした場合のデメリットですが、PC本体の寿命が短くなる可能性は否定できません。
PCを劣化させる要素のうちの一つであるグラボの排熱はグラボを外付けにすることで切り離せますが、CPUなど、PC本体の部品にかかる負荷は変わらないのです。
ゲームプレイ中は、オフィスソフトなどを使用する場合と比べ、連続してより高い負荷がCPUにかかります。
そのため、排熱も大きくなり、部品の劣化も進みやすくなります。
とくに熱を逃がしにくい小型ノートPCなどでは、PCの劣化が早くなるリスクが高いといえるでしょう。
外付けGPUのメリット
一方、外付けGPUのメリットとはどのようなものでしょう。
外付けGPU(eGPU)のメリットは
- 簡単にPCのグラフィック性能を上げられる
- 必要な時だけ接続できる
- 排熱の心配が減る
それぞれ詳しく見ていきましょう。
簡単にPCのグラフィック性能を上げられる
外付けGPUは、ケーブルでノートパソコン本体とつなげるだけで、グラフィックスカードを接続することができます。
パソコンの蓋を開けて取り付ける必要はありません。
ノートパソコンを持っていても、ゲームをする場合、基本的には別途ゲーミングPCを買う必要があります。
しかし外付けGPUを使えば、今使っている普通のノートPCに接続して、3Dグラフィックスのゲームを楽しむこともできるでしょう。
必要な時だけ接続できる
外付けGPUは、必要な時だけ接続して使うことができます。
ゲームをしない時など、不要な時はには持ち歩く必要もなく、ノートパソコンだけを使えば普通に作業ができます。
普段遣いでは必要のないグラフィックスカードを、普段遣いの間だけ外しておくことができるので、パソコンの消費電力を抑えることが出来るのもメリットです。
排熱の心配が減る
グラフィックスカードの熱がパソコン本体の中にこもらないので、熱の心配が減ります。
ゲーミングノートPCでは、ノートPC本体が発熱して寿命が短くなる傾向がありますが、こういった不安も減るでしょう。
ただし、パソコン本体やグラフィックスカード本体が熱を発するのは変わりませんので、それぞれの排熱対策が必要です。
特に外付けGPUのケースの排熱能力が不十分な場合、ハイエンドのグラフィックカードを取り付けると熱が充分排気されず、グラフィックスカードのトラブルに見舞われる可能性もありますので、気をつけましょう。
外付けGPUがおすすめな人
次のような人には外付けGPUはお勧めといえます
- 高性能のグラボなしPCを持っていて、ゲームをプレイしたい人
- ゲームプレイのための初期費用を少しでも安く抑えたい人
高性能なグラボなしPCに、高性能グラフィックスボードを外付けGPUで接続すると、高価格帯のゲーミングPCクラスのパワーを得られるでしょう。
すでにCore i9やi7、Ryzen9などを搭載したグラボなしノートPCを持っている人にとって、本来30万円以上するようなクラスのハイスペックゲーミングPCが数万円~10万円ちょっとほどの投資で手に入るわけです。
手元にあるグラボなしPCが高性能であればあるほど、外付けGPUを使う場合と、同クラスのゲーミングPCを購入した場合の費用差は大きくなります。
高いとはいえ、ゲーミングPC本体と比べれば、まだ割安です。
ゲームプレイのための初期費用を少しでも抑えるには、外付けGPUは有力な選択肢です。
外付けGPU選びのコツ
外付けGPU選びの際に気をつける事は以下の通りです。
- 使う予定のPCにThunderbolt3対応のUSB Type-Cコネクターがついているか確認
- 外付けGPU側の接続端子がThunderbolt3であるかどうか確認
- その外付けGPUが対応するPCの確認
- 価格を確認
- 電源容量と電源接続端子を確認
- デザインを確認
- プラスαの機能を確認
使う予定のPCにThunderbolt3対応のUSB Type-Cコネクターがついているか確認
まず大前提として、使う予定のPCに外付けGPUの接続端子である、Thunderbolt3があるかどうかを確認しましょう。
端子はUSBのType-C端子と同じ形をしていますが、Type-C端子があっても必ずThunderbolt3に対応しているわけではありません。
メーカーが「Thunderbolt3対応」を謳っているか、必ず確認しましょう。
Thunderbolt3に非対応のType-Cコネクターでは接続しても使用することはできません。
お金の無駄になってしまうので、購入を検討する前に必ず確認しましょう。
外付けGPU側の接続端子がThunderbolt3であるかどうか確認
外付けGPUの接続端子は、基本的にはThunderbolt3ですが、中には違う接続端子で接続可能なものがあります。
しかし、Thunderbolt3以外の接続端子では、データ転送速度が追い付かず、グラフィックスカードのパワーをフルに引き出すことが難しいです。
外付けGPUの接続端子は、2024年段階ではThunderbolt3一択といえます。
PC側だけでなく、外付けGPU側の接続方法も、注意して確認しましょう。
その外付けGPUが対応するPCの確認
外付けGPUごとに、対応機種が定められています。
WindowsにもMacにも対応しているもの、どちらかにのみ対応しているものなど様々です。
自分が持っているPCに合わせて購入しましょう。
外付けGPUの対応機種は、基本的には内蔵されているグラフィックスカードによって変わってきます。
RADEONやQuadro(NVIDIA社が発売している、クリエイター向けPCやワークステーション向けのグラフィックスカード)であればWindows、Mac両対応とされています。
しかし、GeForceシリーズはMacで動かないので、注意が必要です。
ゲーム用途の場合はGeForceを選択するパターンが多いですが、要注意です。
また、M1・M2チップを搭載したMac OSのノートPCでは外付けGPUは接続できません。
Macで外付けGPUを使えるのは、intelのCPU(Core iシリーズ)を搭載した、おおむね2020年11月より前に発売された商品に限られます。
最新型のMacbookで外付けGPUが使えないということは、注意しておく必要があります。
価格を確認
外付けグラフィックカードは、商品の価格差が非常に大きい商品で、その価格は3万円程度から30万円まで、選択肢は多岐にわたっています。
グラフィックカードが内蔵されている商品の場合はそのグラフィックカード自体が高価である為、価格差が大きくなりやすくなっているのです。
必要な機能・対応グラフィックスカードなどをしっかり確認の上で、自分が必要な機能を満たしていて、かつ予算の範囲内で検討するのが良いでしょう。
電源容量と電源接続端子を確認
グラフィックスカードは、電気をとても消費します。
特に電気を大量に消費する、GeForce RTX 4090のようなハイエンドグラフィックカードを外付けGPUケースに入れるような場合には、電源容量に注意が必要です。
また、高性能なグラボでは補助電源とよばれる、メインの電源コネクター以外につなげるコネクターを搭載しているものがあります。
自分が搭載するグラフィックスカードに応じ、必要な容量を供給できて必要な電源コネクター(補助電源)がついているケースを購入しましょう。
デザイン・大きさを確認
外付けGPUはゲーミングデバイスのメーカーが製造している場合が多く、他のゲーミングデバイス同様に個性的なデザインのものがたくさんあります。
また、外付けGPUは比較的大きめですので、置くスペースの確保も必要になります。
置き場所を決めた上で、そこに収まり、置いてあっても違和感のない大きさ・デザインのものを選びましょう。
プラスαの機能を確認
外付けGPUには、グラボを接続する以外にプラスαの機能がついているものがあります。
USB端子がついていてUSBハブとして使えるものや、外付けGPUを取り付けたノートPCを充電する機能があるものまであります。
自分の役に立つ、プラスα機能がついているかどうかで選ぶのも一つの手でしょう。
まとめ:外付けGPUはPCにグラボを接続する周辺機器
- 外付けGPUはPCにグラボを外付けする周辺機器。使うことで、グラボがないPCでもグラボが必要になるゲームなどができるようになる。
- 外付けGPUを使うには、Thunderbolt3が必須。
- 外付けGPUの一番大きなメリットは、普通のPCをもっていればゲーミングPCを追加購入しなくてもゲームができるようになること、一番大きなデメリットはつなげられるPCが限られること。