G-SYNCのデメリットは多い?役立つシチュエーションもあわせて解説
G-SYNCとは、可変リフレッシュレート技術のうちの1つで、ティアリングとスタッタリングの両方を同時に削減することができる技術です。
ゲームプレイ中のフレームレートは、処理が重い時と軽い時で変化する場合がありますが、そのフレームレートの変化に合わせてリフレッシュレートを自動的に変化させることができる機能です。
この、フレームレートに連動してリフレッシュレートを変化させる技術であるG-SYNCには、ティアリングとスタッタリングを同時に防ぐことができるメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットや弱点があります。
価格が高い、RADEONで使えない、黒挿入と同時使用できない、フレームレートが落ちた際に遅延が起こる可能性がある、ティアリングやスタッタリングが完全に解消されるわけではないといったことがG-SYNCのデメリットです。
この記事では、G-SYNCのデメリットを紹介したうえで、この技術が役立てられるのはどういったシチュエーションなのか解説しています。
G-SYNCの導入を検討している人が、自分にとって本当に必要なのかどうか、判断する助けになればうれしいです。
目次
G-SYNCのデメリットと弱点
G-SYNCのメリットは、「ティアリング・スタッタリングを同時に減らすことができる」ことです。
一方、G-SYNCのデメリットは「対応モニターの価格が高い」ことです。
なぜなら、
G-SYNCの専用の部品をモニターに組み込む必要があるからで、部品数が増えて材料費が上がるため、値段が他のモニターより上がってしまうのです。
高くなってもG-SYNC対応モニターを買うか、普通のゲーミングモニターにして差額をゲーミングPC本体やゲーミングデバイスに充てるか、考える必要があるでしょう。
また、次のような弱点もあります。
- RADEONなどで使えない
- 黒挿入との同時使用ができない
- 遅延が増える
- ティアリング・スタッタリングは完全には改善されない
RADEONなどで使えない
G-SYNCは、NVIDIA独自の技術です。
ですので、G-SYNCには、GeForceシリーズなどNVIDIAのグラフィックボードだけが対応しています。
AMDのRADEONや、Intel Arcを搭載したPCとG-SYNC対応モニターを接続しても、G-SYNCはでは使用できませんので注意しましょう。
(もちろん、Core iやRyzenの内蔵グラフィックスでも使用できません)
なお、G-SYNCと同様の技術にG-SYNC Compatibleというものがありますが、これはAMDのFreeSyncと同じもので、G-SYNCとは違います。
このG-SYNC CompatibleやFreeSyncは、対応ディスプレイがあれがGeForceでもRADEONでも使用できますが、G-SYNCは無理です。
RADEON搭載ゲーミングPC用に誤ってG-SYNC対応モニターを買わないよう、気を付けましょう。
黒挿入との同時使用ができない
黒挿入とは、モーションブラーリダクションと呼ばれる機能のことを指します。
画面の残像感を減らして画面をくっきり見やすくすることができます。
黒挿入は、基本的にはG-SYNCの環境下では使用できません。
応答速度が高くなると黒挿入をしなくても画面がくっきり見やすくなるのですが、そういったモニターだとさらに価格が上がってしまいます。
遅延が増える
G-SYNC対応モニターでは、最大リフレッシュレートを下回ったときに遅延が増えることがあります。
つまり、プレイ中に処理が重いエリアに入るなどしてフレームレートが下がると、遅延が発生することがあるということです。
ティアリング・スタッタリングが完全には改善されない
G-SYNCを使ったからと言ってティアリング・スタッタリングは完全にはなくなりません。
ティアリング・スタッタリングを完全になくすには、最大リフレッシュレートが高いモニターと、そのモニターの最大リフレッシュレートが安定して出せる高性能なゲーミングPCが必要です。
高性能なゲーミングPCは高フレームレートがだせますが、それにあわせた高リフレッシュレートモニターであれば、ティアリングを防げます。
一方、高性能なゲーミングPCだと、ゲームが急に重くなっても処理が遅れないので、スタッタリングも起こりにくくなるわけです。
G-SYNCは必要か?
こういったデメリットのあるG-SYNCは、果たして必要なのでしょうか?
管理人は「G-SYNCは、あったほうが良いけれども必ずしも必要ではない」と考えます。
理由は以下の通りです
- モニターのリフレッシュレートを極端に超えなければ、ティアリングはなかなか発生しない
- ティアリングが発生しても、多くの場合はあまり気にならないレベルであること
- スタッタリングも極端にフレーム数が下がらなければ発生しない
- 急に重くなることのあるオープンワールド系ゲームでは遅延の発生が増える
ティアリングは、例えばフレームレート300fpsとリフレッシュレート60Hzのように、差が極端に大きい場合以外はあまり発生しません。
こういったことは、ハイスペックゲーミングPCと60Hzまで対応の普通のモニターを組み合わせたときに起こりうるくらいです。
144fps出せるPCには144fpsくらいまでだせるゲーミングモニター、といった感じで出せるフレームレートに合わせたゲーミングモニターを用意すれば、だいたいは問題解消するでしょう。
また、仮に発生しても、画面乱れは気にならないレベルであることも多いです。
スタッタリングも極端にフレームレートがさがらないと発生しないので、モニターとゲーミングPCが出せるフレームレートのバランスがとれていれば、G-SYNC対応でなくても、ティアリングやスタッタリングはあまり起きないといえます。
一方で、フレームレート低下はG-SYNCの弱点である遅延の発生につながってしまいます。
街中や他人数対他人数のバトルの時などで、一気に重くなって、急激にフレームレートが落ちることがあるオープンワールド系のゲームには、G-SYNCはあまり向いていないと言えるかもしれません。
G-SYNCが有効活用できるシチュエーションとは
これまで見てきたデメリットや弱点のあるG-SYNCは使いどころが限られます。
現状、G-SYNCを最大限有効活用できるシチュエーションは、
- モニター購入用の予算に余裕がある
- とにかく画質にこだわりたい
- オフラインゲームメイン
がひとつの例と言えます。
ゲーミングPC購入の際、G-SYNCは画質をよりきれいにするためのオプションとして考えましょう。
自分がプレイしたいゲームが快適に動くPCを買って、そのPCに合ったモニターを買うときに、予算に余裕があったら購入するのがよいでしょう。
そのとき、どれだけ画質にこだわるかも考えるべきです。
とにかく画質にこだわりたいなら、G-SYNCはとてもよい選択肢になるでしょう。
また、オフラインゲームでは場所ごとで重い軽いの差が少ないものが多いので、G-SYNCの遅延も起こりにくいといえます。
こういったゲームであれば、よりG-SYNCを活かすことができるといえます。
まとめ:G-SYNCモニターは高いので、必要な人だけ買おう
- G-SYNCモニターは普通のモニターより高いのがデメリット
- 黒挿入やフレームレート低下時の遅延増加がG-SYNCの弱点。ティアリングやスタッタリングも完全にはなくならない。
- G-SYNCを最大限活用できるのは、とにかく画質にこだわりたくて予算に余裕があるとき。オフラインゲームメインだと、よりおすすめできる。
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ゲームをヌルヌルに動かすとっておきの方法。ゲーミングモニターでG-SYNC/FreeSync使っていますか?(Impress Watch)