メモリーデュアルチャンネル徹底解説|メリットデメリットやり方など

メモリーのデュアルチャネルとは
メモリーのデュアルチャネル(デュアルチャンネルともいう、以下、同様。)とは、2枚のメモリーから同時にデータを読み書きすることで、メモリーの読み書き速度を高速化させる技術のことです。
メモリーのデータの読み書きは、もともとシングルチャネル(シングルチャンネルともいう。以下、同様)という、メモリー1枚とCPUがデータをやりとりする方式でした。
それを、CPUがメモリ2枚と同時にデータをやり取りすることで、一度にメモリから取り出せるデータ量を理論上2倍にすることでスピードアップを図る技術が、デュアルチャネルといえます。
同様の技術で、メモリ3枚から同時にデータを読み書きするトリプルチャネル、4枚から同時にデータを読み書きするクァッドチャネルなどもありますが、2023年現在、一般的な(ゲーミング)PCで使われているのはデュアルチャネルです。
現実社会に例えるなら、メモリーは倉庫で、チャネル(チャンネル)は倉庫に繋がる道といえるでしょう。シングルチャネルは道が1本、デュアルチャネルは2本です。
例えば100個の荷物(データ)を倉庫(メモリー)から取り出す場合を考えてみましょう。
1本の道で荷物を運び出すのであれば、倉庫から一列に100個運ぶことになりますが、2本の道で同時にアクセスして荷物を取り出すとすると、ふたつの道でそれぞれ50個運べばいいので、二本の道があった方が荷物を運ぶスピードは速いでしょう。
同じように、シングルチャネルでメモリ1枚からデータを取り出すよりも、メモリ2枚でデュアルチャネルにしたほうが、データ転送速度は高速化するのです。
なお、理論上、デュアルチャネルはシングルチャネルの2倍のスピードがでることになりますが、実際には様々な要素があってそこまではいかないようです。
デュアルチャネルかどうかはCPU-Zで確認する
デュアルチャネルで動作しているかどうかは、CPU-Zというフリーソフトで確認します。
CPU-Zを起動した後、「Memory」タブを開き、「Channel #」欄に「Dual」とあれば、デュアルチャネルで動いています。
逆に、下の画像のように「Channel #」欄に「Dual」とない場合は、シングルチャネルで動作しているでしょう。
なお、CPU-Zは窓の杜から無料ダウンロードできます。
デュアルチャネルを有効にするには
デュアルチャネルを有効にする方法は簡単です。デュアルチャネルに対応したPC(のマザーボード)に、同容量同タイプのメモリを2枚1組でPCに取り付けるだけです。
ただし、差し込む場所(メモリスロット)にルールがあり、2枚のメモリを間を空けて取り付ける必要があります。
メモリスロットの番号で言えば、基本的にはCPUから遠い、CPU側から数えて2番目,4番目のスロットにそれぞれ取り付けます。
2スロットのPCだったり、4スロットのPCにメモリ4枚を指すのであれば、全てのスロットに同じように取り付ければ問題ありません。
デュアルチャネルで動作させる際には、できるだけ同容量・同メーカー・同型番・同一ロットのメモリ2枚を使うことでトラブルを未然に防ぐことができます。
別メーカー・別型番・別ロットのメモリでも動作可能(仕様上は別容量でも一部動作可能)ですが、トラブルの原因になりますので、可能な限り意識しましょう。
メモリを増設するのであれば、同容量・同型番・同ロット2枚一組のセット品が多数販売されていますので、それを使うのがおすすめです。
なお、デュアルチャネルをオンにするときのメモリー増設については、詳しい記事がありますので、メモリー増設の際には参考にしてください。
デュアルチャネルのメリット
デュアルチャネルのメリットは、パフォーマンス(転送速度)の向上です。
1枚のメモリーとデータをやり取りするのであれば、理論上の最大データ転送速度はメモリ-の最大転送速度となりますが、2枚同時にやり取りすれば、理論上の最大データ転送速度はメモリ-の最大転送速度の2倍となります。
実際には様々な制約で2倍までいきませんが、それでもかなりの性能向上になります。
また、メモリーの転送速度が向上するので、メモリーの一部をVRAMとして使う、グラボなしPCの画面表示能力も向上する傾向があります。
特に、グラボなしPCでゲームをプレイする場合、シングルチャネルとデュアルチャネルでフレームレートなどに大きな違いが出るでしょう。
デュアルチャネルのデメリット
デュアルチャネルのデメリットには、メモリー同士の相性による不具合が出やすくなるということがあります。
デュアルチャネルの場合、2本のメモリーから同タイミングでデータを読み書きするため、2本のメモリーのバランスが良くなかったりすると、1枚1枚データを読み書きするシングルチャネルと比べて、不具合が起きやすいです。
デュアルチャネル動作にした場合のこういった不具合は、高速な読み書きができなくなるだけでなく、パソコンの動作不安定要因になりがちです。
この場合は、メモリのデュアルチャネル動作を強制的にオフにしてシングルチャネルで動くようにすれば、問題が解消する可能性が高いです。多くのPC(のマザーボード)では、BIOS設定からオフにすることができます。
なお、デュアルチャネルによる不具合は、多くの場合メモリーの相性によるものです。
上に書きましたように、同容量・同メーカー・同型番・同一ロットの2枚1組のメモリを使うことにより、かなりの割合で防ぐことができます。
また、中身がどれだけ劣化しているかわからない中古品を避けることも大切です。
PCのメモリを増設する場合、特に初心者の方は、実績のあるメーカーの、新品2枚1組になっているメモリーを購入するのがおすすめです。
ゲームプレイという視点から見たデュアルチャネルメモリー
このように、デュアルチャネルはデータの高速転送ができるようになることでパフォーマンスを向上させることができますが、転送タイミングがシビアになって、動作不具合・不安定の原因にもなりがちなのです。
こういったデュアルチャネルですが、ゲーミングPCでゲームをプレイする際には、フレームレートにプラスの効果が期待できるメリットがあります。
特にグラボなしのPC(型番の最後にGがつくRyzen搭載PCなど)では大きな恩恵があります。
なぜなら、VRAMとして使用しているメインメモリの速度も上がるからです。
先ほども書きましたが、グラボなしPCはメインメモリーの一部をVRAMとして使用するので、メインメモリーの転送速度が上がるデュアルチャネルにすることで、VRAM(として使っているメインメモリー)の速度も向上するのです。
実際に、以下の動画では、でゲームを動かしていますかフレームレートが1.5倍から2倍近くに変わっています。
動画内にあがっているゲームは、本来であればグラボありのゲーミングPCが必要といえるゲームですので、そのゲームを動かすうえでの参考にはならないかもしれませんが、フレームレートが大きく改善していることがわかります。
この恩恵を受けられるパターンとしては、たとえばFF11のような軽量ゲームをグラボなしPCのオンボードグラフィックスで動かす場合が考えられます。
こういったときには、意識的にデュアルチャネルにするのがよいでしょう。
まとめ:デュアルチャネルはメモリーの高速化技術
- デュアルチャネルとは2枚のメモリーから同時にデータを読み書きすることでデータ転送速度を高速化させる技術。
- デュアルチャネルにすると、パフォーマンスの向上が期待できる。
- デュアルチャネルにするとフレームレートの向上が期待できる。特にグラボなしのPCでは、効果が大きい