CPUの役割とは|構造・技術「初心者向け」完全解説【2024年最新】
PCやゲーミングPCのスペックを見ていると、必ずCPUというワードを目にします。
CPUはどんなパソコンにも必ず搭載されています。そのCPUとは一体どういうものなのでしょうか。
この記事では、CPUとはどういったものか、どういった構造をしていて、どのような種類があるかといったことについて解説しています。
なお、この記事ではPCのCPUについて主に取り上げます。
スマホや他の機器にもCPUは搭載されていますが、そういったものについては説明を省略します。
目次
CPUとは
CPUとは、セントラルプロセッシングユニットの略で、パソコンの頭脳に当たります。
辺の長さが3~4cmくらいの四角形をしている部品で、すべてのPCに搭載されています。
(写真は基盤(マザーボード)に取り付けられた第6世代Core i7)
CPUとはなにか?一言でいうと…
CPUとはなにか?
という問いへの答えを一言で言うと、「CPUはパソコンの脳である」といえます。
たとえば、1+1を入れると2が出てくるような計算をしたり、パソコンの他の部品を制御する機能があるのです。
使われているCPUの調べ方
Windows上でCPUの種類を確認する方法は以下の通りです。
- スタートメニュー ⇒ ⚙(設定)で設定画面を開き、一番左上の「システム」を選択
- 左いちばん下の詳細情報をクリック
- 画面の「デバイスの仕様」内、「プロセッサ」という項目を確認。
ここに Core i○やRyzen ○(○は数字)のように書かれていますが、これが搭載されているCPUの種類です。
他にもPentium(ペンティアム)やCeleron(セレロン)、Atom(アトム)といった種類のCPUもあります。
CPUの種類
CPUの種類は、メーカー、コア数・スレッド数、内臓グラフィックス、クロック周波数などで区別されます。
メーカーとラインナップ
PCに使われているCPUは、そのほとんどを米intel社と米AMD社が製造しています。
intel社のCPUで有名なのが、Core iシリーズ、AMD社のCPUで有名なのがRyzenシリーズです。
intel社のCPU(Core iシリーズなど)
intelのCPUは、Core iシリーズのCore i9、Core i7、Core i5、Core i3があります。
また他に、Pentium(ペンティアム)やCeleron(セレロン)、タブレット向けのAtomなどのラインナップもあります。
ラインナップのグレードは以下の通りです。
Core i シリーズ(その中でもCore i9 > 7 > 5 > 3の順) > Pentiumシリーズ > Celeronシリーズ > Atomシリーズ
ゲーミングPCでよく使われているのはCore i9、Core i7、Core i5です。
少ない予算でゲーミングPCを自作する場合にはCore i3を使う場合もありますが、販売されているゲーミングPCに搭載されていることはまれでしょう。
Pentium・Celeron・Atomはパワー不足でゲーミングPCには不向きといえます。
ゲーミングPCでよく使われるCore iシリーズの型番は以下のようになっています。
この型番の①~④の部分は、それぞれ以下の意味を持っています。
①CPUのランク
Core i9が最も高いランクで、以下、i7,i5,i3の順にランクが上です。
②世代
Core iシリーズは登場後10年以上がたち、2024年1月現在で第14世代まであります。数字が大きいほど新しい世代です。
③性能ランク
一般的に数値が大きいほど高性能です。
①のランクと比例して数値が大きくなる傾向があり、i9>i7>i5>i3の順にこの部分の数値も大きくなる傾向があります。
第13世代であれば、Core i9には(13)900、Core i7には(13)700、(13)600、Core i5には(13)400などがあります。
④付加機能
最後のアルファベットはその型番独自のプラスα機能の有無を表します。
例えばKがつく型番は、倍率アンロックと呼ばれる機能を搭載しており、オーバークロックというマニア向けの手法に対応しています
Fがつく場合には、内臓グラフィック非搭載のタイプです。
型番末尾にFがつくタイプのCPUを使用するにはグラフィックスカードが別途必要になります。
AMD社のCPU(Ryzenシリーズなど)
一方、AMDのCPUはRyzenシリーズのRyzen 9、Ryzen 7、Ryzen 5、Ryzen 3が有名といえるでしょう。
他にRyzen Threadripperと呼ばれるハイエンドCPUや、Athlon(アスロン)といったものもあります。
しかしこういったCPUは、価格が高すぎたり、格安であるものの性能が低すぎたりするため、ゲーミングPCには不向きといえます。
AMDのRyzenシリーズも型番で性能を示しており、①〜④の部分はそれぞれ次の意味を持っています。
①CPUのランク
Ryzen 9が最も高いランクで、以下、7,5,3とと続きます。
②世代
2024年現在では1~7までの数字があります。大まかに分けると1が第一世代、2が第二世代、3・4が第三世代、5が第四世代、7が第五世代です。
(ただし、Ryzenの場合は同じ数字に別の世代が混ざることがあり、あくまで目安です)
③性能ランク
一般的に大きいほど高性能です。
第4世代のRyzen 5000シリーズであれば、 Ryzen 9には(5)900、Ryzen 7には(5)800、(5)700、Ryzen 5には(5)600という形になっています。
④付加機能・特別な性能
最後の文字列はそのCPU独自の付加機能や特別な性能をもっていることを示します。
たとえばXがつく場合は、倍率アンロックという機能を搭載しており、オーバークロックという、自作PCマニア向けの手法に対応したタイプになります。
また最近は、X3Dという文字列がこの部分につく、ゲーム向けに最適化した高性能ゲーミングPC向けRyzenもあります。
コアとスレッド
CPUにはコアとスレッドがあります。
コアはCPUの核の部分で、制御部と演算部がセットになってできている一つの塊です。
これを2つ以上搭載しているCPUが、いわゆるマルチコアCPUです。
現在は、このマルチコアが主流となっており、コアの数が多いほど一般的には高性能といわれています。
なぜ、コア数が多いほど高性能なのか、その理由を見ていきましょう。
図はシングルコアCPU(コアが1つのCPU)の場合ですが、シングルコアCPUの場合、すべての処理を1つのコアで行います。
そのため、下の図のように、2つ3つの処理が同時に来ると、基本的には1つずつ処理することになるので、処理待ちが発生します。
処理待ちが発生する分だけ、スピードが遅くなるのです。
この問題を解決するのがマルチコア技術といえます。
マルチコアの場合、1つのCPUのなかに処理をするCPUコアが複数あります(図はデュアルコア=1つのCPUに2つのコアの例)。
したがって、同時に複数のプログラムを処理でき、処理待ちが発生しにくくなりるのです。
図の場合は2つのコアを持つデュアルコアCPUですが、これが4個、6個、8個・・・と増えるにつれて同時に処理できる数は増え、処理速度があがっていきます。
1つのCPUにあるコアの数は、2~8個が一般的でしたが、高性能なCPUでは、16個・32個やそれ以上コア数を持つものもあります。
一方、スレッドとは、実際にプログラムを処理できる作業単位です。
CPUコアも基本的には1つのコアで1つのプログラムを処理する構造になっていますが、スレッドは必ずしもCPUコア数と一致しません。
理由は、1つのCPUの中に2つのスレッドがあるように見立てて処理速度を向上させる技術があるからです。
この技術を使っているCPUコアは1つのコアに対しスレッドが2つ、使っていないCPUコアは1つのコアに対しスレッドが1つになります。
コア数・スレッド数はWindows画面の以下の部分で見ることができます(Windows10の場合)。
スタートメニュー上で右クリック ⇒ タスクマネージャー ⇒ パフォーマンス タブ ⇒左側「CPU」を選択した状態で、右側のコア・論理プロセッサ数を確認。
コアの数がコア数、論理プロセッサ数がスレッド数になります。
内蔵グラフィック
最近のCPUの多くは、グラフィックス表示機能をCPU内部に搭載しています。
iGPUとも呼ばれ、いわゆるグラボなしPCには必ずこのタイプのCPUが使われています。
Core iシリーズで型番末尾にFがついていないもの、Ryzenシリーズの5000番代以前で型番末尾にGがついているものなどが内臓グラフィックスありのCPUです。
クロック周波数
クロック周波数とは、CPUが動く際に発する信号の波がいくつあるのか、その数を指すものです。
つまり、1秒間でどれだけの波(クロック)があるかを示しており、単位はHz(ヘルツ)です。
1Hzで1回で、最近のCPUは数GHzのクロック周波数で動くものがほとんどです。
たとえば、クロック周波数が3GHzのCPUだと、3GHz(ギガヘルツ)=3,000MHz(メガヘルツ)=3,000,000KHz(キロヘルツ)=3,000,000,000Hz(ヘルツ)、となり、1秒間に約30億回の波(クロック)があることになります。
基本的には、クロック周波数が高い(多い)ほど1秒間に処理できるデータの量が増え、高性能なCPUとなります。
CPUの仕組み
では、CPUはどのような仕組みをしているのでしょう。
CPUの仕組みを大まかに説明すると、CPUは、計算をする部分(演算部)と部品に指示を出す部分(制御部)、また処理したデータを一時的に置くキャッシュメモリやレジスタなどからなっているといえます。
演算部と制御部
CPUには計算をする部分(演算部)と部品やデバイスに指示を出す部分(制御部)があります。
その大きさはせいぜい数センチx数センチですが、その中にはトランジスタと呼ばれるものが億単位の数で詰め込まれています。
こういったものが、非常に高速で動きながらデータを処理しているのです。
制御部は、処理するプログラムがメモリのどこにあるかを記憶して、その場所のプログラムを処理するように演算部に伝えます。
そして演算部がこの指示をもとに処理するプログラムを読み込んで、実際の処理をするというのが、一般的な処理の流れです。
キャッシュメモリ
キャッシュメモリとは、CPUに内蔵されている、高速なメモリのことを指します。
CPUは、処理するプログラムを基本的にはメモリ上に置いています。
そして、よく使うプログラムを一時的にCPU内部のキャッシュメモリに置くことで、その読み込み時間を短縮し、トータルの処理時間を短くしているのです。
一般的に、高性能なCPUほど、キャッシュメモリを多く搭載している傾向があります。
レジスタ
レジスタは、キャッシュメモリとは別に、 CPU内部にあるデータ置き場です。
CPUがデータ処理を行っている最中のデータを一時的に置く場所といえます。
CPUの処理を人間の手計算に例えると、以下のようにいえます。
①(1+8)÷(2+1)、のような計算をする際、まず1+8を計算し、答え(=9)を一時的に紙に「メモ」しておきます。
②2+1(=3)をします。答え(3)を一時的に別の紙に「メモ」します。
③メモ上の9と、もう一つのメモの3を見て、9÷3をすることを思い出して、計算し、3という答えを導き出します。
この「メモ」が、CPUのレジスタといえるでしょう。
ムーアの法則とは、半導体・トランジスタの集積度は、2年ごとに倍になるという法則です。
1990年代まではこの法則に従ってCPU性能が爆発的に伸び続けましたが、2000年代に入ってから、様々な技術の限界によりこの法則は必ずしも当てはまらなくなっています。
現在は、ムーアの法則を支える半導体の集積度を上げる方向から、マルチコア・マルチスレッド・省電力といった新しい技術を取り入れた技術開発がメインになっています。
このため、ムーアの法則は過去のものになったといえるかもしれません。
CPUではマイクロアーキテクチャという、アーキテクチャの一種について触れている記事をよく見かけます。
これはおおまかにいうと、CPUのメーカーや世代によって異なる基本的な設計といえます。
たとえば、Core iシリーズだと
- 第1世代:Nehalem(ネハレム)
- 第2世代:Sandy Bridge(サンディブリッジ)
などがあり、Ryzenシリーズであれば、
- 第1世代:Zen
- 第2世代:Zen+
- 第3世代:Zen 2
といったマイクロアーキテクチャ(基本設計)があります。
それぞれの世代のCPUで独自のもので、世代を追うごとに改善されています。
なお、第12世代以降のCore iシリーズCPUでは、1つのCPUのなかに異なるアーキテクチャのCPUコアが混ざっているものがあります。
(第12世代であれば、Golden Cove と Gracemont、第13世代であれば、Raptor Cove と Gracemont)
まとめ:CPUの役割はプログラムの処理と指示出し
- CPUの役割は、プログラムを処理(計算)することと、CPUのプログラム処理をする部分やほかの部品に指示をすること
- PCのCPUは、intelのCore iシリーズと、AMDのRyzenシリーズが主流
- CPUはマルチコア化やスレッド数を増やしたり、クロック数をあげるような方法で技術開発が進んでいる
参考サイト:
・WikiPedia(ムーアの法則)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ムーアの法則
・WikiPedia(コンピュータ・アーキテクチャ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/コンピュータ・アーキテクチャ
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